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蝋人形の館

前回コラムの「北へ行く女」の続き。


さて、私が今回の旅で一番見に行きたかったモノ。

そこは、寒い寒い風の吹くオホーツク海のすぐ側にあった。丘の上に建つ赤レンガの建物。

そう、網走刑務所。

札幌から車で6時間。途中、ほとんど渋滞がなかったのが、唯一の幸い。遠かった・・・。
オホーツク海を目の前に、大きな国道を挟んで左手が現・網走刑務所、右手が網走監獄博物館(旧・網走刑務所)。
もちろん、現・刑務所は現行法の下で使用されており、一般の立ち入りは禁止なので、中に入って見学が出来るのは旧・網走刑務所である網走監獄博物館。

網走監獄は、日本で唯一の現存刑務所博物館であり、世界的にも有名な博物館となっているが、昔は、古く明治時代から日本の刑務所として使われ、北の果てにあるもっとも恐ろしい刑務所と言われていた。
北海道開拓の歴史と共に歩み、その過酷な労働と獄中の非人道的な扱いが問題になったこともあったが、老朽化に伴い、昭和に現・刑務所へバトンタッチをし、旧・刑務所は移管工事を受け、博物館としてその歴史を今に伝えている。

小さいときに何かの本で読んで、なぜか今でも痛烈な印象を受けていた場所だった。
「寒さとキツイ獄中生活の中、脱獄不可能と言われていた監獄から、気が狂うような歳月をかけて、独房の鉄柵にご飯の汁をかけ、鉄をサビさせ、鉄柵を破って脱獄した囚人がいる・・・」、と。
その囚人が収容されていた監獄が、この網走監獄だった。

小さいときから・・・あの本を読んだときからどうも気になっていて、大学で刑法を学んでいた時もどうしても行きたくて行きたくて仕方がなかった場所だった。

でも、正直、今回の旅で行くかを迷った。
初の北海道で、札幌を拠点にしているのに、対極にある網走まで、しかも、クソ寒い冬にわざわざ行くのか?と。網走に行く用事は、刑務所にしかなかった。短い旅の行程で、回りたいところもたくさんあるのに、それを捨ててまで網走行きを決行するかどうか。

でも、ココロは決まっていた。
「行く。」
「行きたい!」
これが、「機会」ってヤツである。「今」なのである。


「網走」と聞くと、どこか寒く、悲しげな雰囲気と共に、「刑務所」が必ずセットになって浮かんでくる。網走と言えば刑務所。
そして、実際行ってみた感想もまんまその通りで、駅周辺も閑散としていて、駅前のポスターには「ようこそ!刑務所の町、網走へ」と。
「刑務所へようこそ!」って言われてもなぁ・・・、迎えられているのにこんなにも素直に喜べない町は初めてだ。

冬は観光客も少ないせいか、閉館時間が夏期と比べて、1時間早い。札幌を早朝に発ったのだが、着いたら15:00。閉館は17:00。残り2時間、全身全霊をフル稼働して、色々なことを吸収したい。何となく、北海道に行くことはあっても、もう網走に来るチャンスはないだろうなぁ、これが最後だろうなぁと感じていたので、いつもは見せない集中力でみなぎっていた。

全身全霊フルチャージ、フルターボで臨んだ監獄見学。
まず、入り口の「網走刑務所」という木製の看板の前で、カメラマンが待ちかまえていて、見学後に記念に出口で写真販売するため、観光客相手に半強制的に写真を撮る東京ディズニーランド「スプラッシュマウンテン」方式が行われているのだが、写る写真も必要以上に気合いが入ったカオになってしまった。

「は~い!笑ってぇ~。」「お姉さん、カオ恐いよぉ~。」
・・・笑えるわけがない。私には、ここ網走であと2時間の猶予しかないんだ。早く先に行かせてくれ。

館内はいくつもの建物に分かれていて、歩きながら見学するようになっている。日も陰り、外は薄暗くなっていたが、そんなことは構わない。1つも漏らさず、じっくり見学。数十年前まで実際に使っていた刑務所だけあって、なんとも言えない独特の雰囲気が全館通してあってた。

そして、要所要所に置かれた囚人の蝋人形が、不気味なくらいによくできていて、臨場感を出していた。蝋人形の質の高さは、ぜひ「今日のカメ。」で見ていただきたい。

館内の内容に関しては、話したいことがありすぎるので、割愛させていただく。いつかアナタにお会いした時に、そして、「機会」があって偶然刑務所の話になった時に、熱く語らせていただく。

少々、刑法をかじっている程度の知識だが、非常に興味深く見学をさせていただけた。監獄内で「蛍の光」を聴いた。網走の2時間が終わった。

人によって興味や感性は異なるので、あえて勧めはしないが、本当に来て良かった。それだけは、言える。

帰りに、出口のみやげ物やで、監獄グッズを大量に買った。記念だ。
グッズだけでなく、私にしては珍しく監獄の資料集や網走刑務所にまつわるノンフィクション小説など出版物にまで手を出した。意味もなく、手錠キーホルダーとかも買ってみた。コレも記念だ。

網走刑務所が農園刑務所(刑務所内で農場を構え、自給自足の他、野菜を市場に売ったりして、刑務所内の費用をまかなっている。)であることを受けて、「網走刑務所農場で作ったじゃがいもを使ったポテトチップス」が売られていたので、早速買った。味は普通のポテチだった。

よくありがちのクッキーの表紙にデカデカと「網走刑務所に行ってきました!」と書かれた「行ってきました!」シリーズのクッキーが売られていたが、さすがにそれは縁起が悪そうなので買うのはやめた。


買い物をしていて、ふと思った。
ここって、日本一万引きの少ない土産物屋かも、と。刑務所ちらつかされて、犯罪はできないしね(笑)。速攻、入れられそう。





今年もいよいよ終わりに近づいて来ました。

色々ありました。
一番のニュースはやはりアメリカの同時多発テロでしょうか。
あの日はちょうど深夜にテレビ付けっぱなしにしていて、ビルが崩れていく様子を見ていました。

リアルタイムで「映像」を見ていました。でも、それは「映像」ではなく、映画の世界のような「現実」。一瞬、妙な「錯覚」にとらわれたのを今でも覚えています。

リアリティーに欠け、テレビを見ながらこれが現実だと理解するのに少し時間がかかったこの感覚。きっと、こんな「錯覚」にとらわれた方は多かったんじゃないかと思います。映画、テレビ、アニメ、ゲーム・・様々なところで人々は似たような光景を見ているんです。それが、無意識に今回の「錯覚」を産んだ、と。

日本人にとって、カタカナって覚えにくいらしいです、漢字やひらがなに比べて。記号に見えてしまうらしいです。つまり、字を見る時、ヒトは何かの字的な意味や雰囲気や、そういうものを感じ取って覚えるのであって、その点、カタカナはそれが掴みにくい。つまり、結果として覚えにくい。
ほら、小さい頃いたでしょ、地図帳の世界都市をどうしても覚えられない子。

今年、子供から大人まで、悲しくも1つのカタカナを一斉に覚えることとなりました。覚えにくいにも関わらず。
「ウサマ・ビンラディン」

何かが始まって、何かが終わって、また始まって。実は、終わっていたと思っていたコトが終わってなくて、裏で続いていたりして。ヨノナカは複雑です。

年末恒例の日本漢字能力検定協会主催による今年1年の世相を反映させる漢字一文字。毎年注目しているんです、コレ。

今年は「戦」でした。テロや狂牛病など「戦々恐々」としてるところからきているそうですが、21世紀はじめの年だというのに、なんてことでしょう。




早いもんです。毎年のことですが、12月に入ってから「時」の速さは、何なんでしょうね。通常の2倍速・・いや、3倍速くらいは速い気がします。

12月を色々な計画を立てたりして、ゆっくり過ごせた経験がありません。12月はいつもバタバタ。年末恒例の会社忘年会開始ギリギリまでパソコンたたいたり、電話かけたり、タイムアップギリギリまで。
そして、今年もそうなりそうな気がします。

今年のドあたまに、コラムにて「勝ち戦」なるテーマを発表し、新年をスタートさせました。
振り返ってみて、今年は勝ち戦だったんでしょうか、負け戦だったんでしょうか。はたまた、勝ち逃げだったんでしょうか。
しかし、年明けに書いた「勝ち戦」なる言葉が不幸なことに今年の漢字に選ばれてしまうとは。変な予感が的中してしまいました。

まぁ、いいや(笑)。

来年・・・・どうしようかな。
まだ、何も考えていません。何か、今年は「答え」が出ないや。ちょっと休み中にじっくりと考えてみようと思います。


歯磨けよ!
フロ入れよ!
雑煮食えよ!
紅白見ろよ。
ハ~ビバノンノン。

それでは、皆様、良いお年をお迎えください。
ヨノナカはホント色々あるので、どうかお気をつけて。



2001年12月某日

成沢理恵




今日の蝋人形なカメ。

早速、忘年会&友人飲み会ラッシュで、シラフでもハイテンション&フルターボ。年末はこうでなくっちゃ。

●網走監獄前

この門をくぐった直後に、カメラマンに写真を撮られました。先を急いでるってのに。

●拘留されている青年(蝋人形その1)

ホンモノの人間ではありません。
「拘留中の様子」というところに座っていたので、たぶん、網走監獄的に「悪いことをして、捕まりそうな人」のイメージを元に作られた蝋人形。笑える。かなりの出来ばえ。

網走監獄博物館はこの蝋人形を見るだけでも行く価値有り(笑)。

●休泊所での受刑者(蝋人形その2)

断っておきますが、コレもホンモノではありません。
リアルな寝顔を見せてくれています(笑)。

受刑者が塀の外で日帰りできないような作業をするとき、「休泊所」というところで仮眠をとり、冬でも薄い布団&薄い作業着で寝起きをし、しかも枕は丸太の棒だったという過酷な労働を示す展示の一部。通称「たこ部屋」。

内容もさながら蝋人形に驚かされる。
ちなみに、この部屋の隣の展示室では蝋人形が、私に予告無く動いてたので、思わず「おおお!!!!」と声をあげてビックリ。リアルなだけに、そこらの遊園地のお化け屋敷よりもビックリ度が高かった。

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by meshi-quest | 2001-12-23 15:46 | 旅行_国内
プロフィール
ゲームプロデューサー
成沢 理恵
「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」シリーズで知られる㈱スクウェア・エニックスを経て、 現在、ちゅらっぷす株式会社取締役、兼、ゲームプロデューサー。

ヒマさえあれば、国内、海外を食べ歩き、遊び歩く、生粋の遊び人。

その経験は、ゲームづくりにも活かされている、はず……。
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