お引越し。(3) ~ 人形を供養する ~
1つは、着物、もう1つは日本人形だった。
ママは茶道の看板を持っており、学生時代から茶道で着物を着ていたので、家にすごい数の着物が眠っていた。
かなりカワイイ柄の着物がたくさんあった。
私が着ればいいことなのだが、困ったことに私とママでは身長差がありすぎて、合わなかった。
着物の場合、着丈はおはしょり部分で何とでもなるのだが、腕の長さは丈を出すにも限界があり、私ではつんつるてんになってしまう。
かといって、ママの大切にしていた着物だし、かなり高価なものなので、そのまま捨てるわけにもいかない。
どうしたものか・・・。
悩んだ結果、仏壇越しにママと相談し、丈とかの関係ない帯や小物や上着を自分に、一部ママの若い頃の着物は着物が着れる私の親友に、大島や訪問着など大人の着物はママの十年来の親友であるおばさんに、残りを着物専門の業者に引き取ってもらうこととした。
並行して、着物業者を探して、Kというかなりネットでも告知をしているリサイクル専門店の鑑定士の方に来ていただき、着物の鑑定をした。
リサイクル品の鑑定をしてもらうなんて初めてのことだったんで、本当はここでもその話をしたいところだったのだがその着物業者がいい年したおじさんなのに、若いからってなめてんのか、あまりにも対応や口の利き方が悪かったので、頭に来て、叱り飛ばした。
接客業としてなっていない。
人からモノを預かって商売をする人として、その対応はおかしいのではないか。
こちらはママの遺品をきちんと鑑定していただける方を探しているので、きちんと対応できないならば、引き取っていただきたい。
かなりビックリしたようで、以後丁重に、しかもおべっかまで使い始めたが、もう手遅れである。
とりあえず、謝罪を受けて、きちんと商談はしたが、ここでは皆様にお勧めできないため、割愛させていただく。
こうして接客業として、口コミが途絶えるという最悪の結果になっていることを自覚いただきたい。
最後の問題は、日本人形。
ママが学生時代に日本人形制作をならっていて、その時作ったママ手作りの日本人形が家に7体あるのだ。
娘が言うのもなんだが、ホントに手の器用な何でもできるお方だった。
記念に撮影した日本人形を「今日のカメ」で掲載させていただいたが、浅草で買っ てきたと言われても納得しそうな出来である。
ただ、新居に和室はなく、置くスペースもないので、当初、引越し前日にでも近くのお寺さんにでも行って、燃やしてもらえればいいやと簡単に考えていたのだが、それが甘かった。
どうやら東京都の条例で、人形を燃やしたときに出るダイオキシンがうんたらかんたらで、とにかく東京のお寺、神社がこぞって、人形のお焚き上げを拒否しているのだ。
困った。
ネットで調べてみても、やはり人形供養に困っている人がかなりいて、みんなでわずかな情報を提供しあっていた。
人形供養しているところがあっても、場所が静岡だったり、人形供養専門業者もあったのだが、かなり高い。原宿の明治神宮もお焚き上げをしているらしいのだが、それも年に一回。すでに終わっていた。
ほとほと困っていたときに、たまたま見つけた掲示板で、門前仲町の富岡八幡宮という神社でいつでも人形供養をしてもらえるという情報をゲットした。
早速電話してみると、快く応対してくださり、いつでもお越しいただければ受け付けます、とのこと。
その週の週末に門前仲町まで車を飛ばして、日本人形7体とともに、富岡八幡宮へ行った。
富岡八幡宮は門前仲町の駅からすぐの場所にあった。
そんなに大きな神社ではないが、趣があり、参拝客も多かった。
受付で、専用の用紙に住所と人形数を書き込み、神主さんに提出する。
どうやら、人形1体(1m以下)に付き3000円かかるらしい。なので、合計21000円ということになる。
すると、人形の数をみて、神主さんが「人形の数が多いようなので、全部で5000円 で、あとはお気持ちで構いませんよ。」と言ってくださった。
なんと、神社でまけてもらった。妙に嬉しくて、気持ち足して1万円お支払いした。
「お待ちください。」
受付の前で待っていると、別の、陰陽師のような衣装を着て、長いしゃくし(?)を持った若い神主さんが出てきて、「こちらへ」と案内された。
富岡八幡宮では本殿と少し離れた場所に人形供養専門の祭壇があり、そこで、人形にちゃんとお祈りをささげて供養するらしい。
ただ、お金を払って、焚き上げてもらうのかと思っていたので、本格的な出来事にちょっとビックリした。
今回、うちの場合は、ママが作ったものなのでという理由でゴミにはしたくなく、ちゃんと燃やしたかったので神社を訪ねたのだが、どうやら通常は「人形の髪が伸び てます」とか「人形が動くんです」とかそういったヤバイ案件でくる方が多いらしい。
詔(みことのり)をよんでいただき、約10分、きちんと供養をしていただいた。
供養の詔の中で、神主さんが人形を「ひとがたの・・・・・」と言っていたので、やはり人形には魂が宿るらしい。
引越しを通して、人形供養について学び、滅多に受けない人形供養を受けた。
この経験をここに記し、何か人形で困ることがあったら、富岡八幡宮へ行かれること をお勧めする。
○富岡八幡宮
場所:門前仲町駅そば
受付:平日、土日祝日、可。8:00~16:00まで。
http://www.tomiokahachimangu.or.jp/
■今日のカメ
■ママの日本人形
ママの作った日本人形です。
着物の部分も、和裁をやっていたので、自分で作ったと言っていました。
すごく良く出来てます。
ホント器用な人で、ビックリします、娘としては。