山本益博氏 実況・解説ツアー「すきやばし次郎」 後編



前編中編も合わせてどうぞ。








さてさて、早速、カウンターに着席。









私は、偶然、山本さんの隣の席となった。


生実況のアリーナ席で嬉しい反面、写真撮影の件もあり、


なんだか出来の悪い生徒が先生の隣に座らされているような感じでもあった(笑)。











まずは、ビールで静かに乾杯が始まり、その後、山本さんより


「ビールは最初の1杯だけ。味が変わってしまうので、


お寿司が始まったら、お茶のみで、飲めませんので」


という説明がされた。










そして、寿司ネタやすきやばし次郎のことに関して、山本さんの解説が始まる。


ここまでの間、次郎さんをはじめ、


息子さん、お弟子さんたちは一切一言もしゃべらず、黙々と寿司の準備をされていた。











いよいよ、次郎さんのタイミングでお寿司がスタート。


内容は、お品書きで決まっている、下記のお寿司。


かれい

しんいか(すみいか)

しまあじ

あかみ

ちゅうとろ

おおとろ

しんこ

むしあわび

あじ

くるまえび

とりがい

かつお

しゃこ

いわし

うに

こばしら

いくら

あなご

かんぴょう

おぼろ

たまご


以上、21貫。


内容は、季節や仕入れによって変わるらしい。










山本さん曰く、次郎さんはコンチェルトの「指揮者」であり、


お品書きの「かれい」~「むしあわび」までが第一楽章で古典的なお寿司、


「あじ」~「いわし」までが第二楽章で季節のお寿司を入れた盛り上がりがあって、


「うに」~「たまご」までが第三楽章でフィナーレになる、そうだ。











素人には難しいことは分からないが、コンチェルトのように、


このお寿司の順番にもちゃんと意味があり、


一番美味しく食べてもらえる流れになっている、とのこと。













以下、個人的な感想をいくつか。




■美味しかったもの


すごく美味しかったのは、「しんいか」「しまあじ」「あじ」「いわし」「うに」。


特に、「あじ」と「いわし」は、


今まで食べたその味とは全く違い、驚くほど美味しかった。











味もさることながら、撮影が禁止されていたのでお見せできずに残念だが、


あじといわしのそれはそれは綺麗なこと、綺麗なこと・・。


お寿司に「綺麗」という表現もおかしいのだが、


あじは薄いピンクのグラデーションがかかっていて、


なんだか宝石を見ているようだった。













■海苔のこと


印象に残っていることとして、海苔が、実に美味しかった。







風味が非常に良くて、口に入れる前からフワッといい香りがする。


今まで食べた海苔の中で一番美味しいかもしれない。


「かんぴょう」とか「おぼろ」とかは普段あまり食べないのだが、


海苔が美味しくて、珍しくペロッと食べてしまった。











山本さん曰く、次郎さんのところの海苔は、


築地の丸山商店というお店の海苔を使っていて、


毎朝1枚1枚丁寧にお店で焼いているので、香りと味が違う、とのこと。













■寿司飯のこと



一口目食べた時に、「・・・酸っぱい」と思った。









山本さんも解説で話していたが、この酸っぱさがだんだん感じなくなり、


この酸っぱさがネタを引きたて、美味しくなってくるとのこと。









確かに、最初の「しんいか」では正直すごくこの寿司飯が酸っぱく感じられ、


途中、「おおとろ」「あじ」あたりでは酸っぱさが全く感じられなかったが、


最後の方でまた酸っぱさが蘇り(苦笑)、これは個人的な味覚の問題で、


やっぱり私にはちょっと酸っぱいかな、という結論。











ご飯自体は、つややかで、固さもちょうどよく、とても美味しかった。


息子さん曰く、他の寿司屋さんは「いいネタ」を使うことが


美味しい寿司と勘違いしているが、実は一番大事なのは「寿司飯」で、


うちではこの寿司飯に合う魚を仕入れ、


この寿司飯に合うように加工と調理をしている、とのこと。











寿司飯は適温35度くらいに保てるよう、握る間は冷房を切っている、とのこと。


どおりで、食べている間、店内がちょっと暑かった気がした(笑)。










■寿司の温度のこと


次郎さんのお寿司には、温度がある。


寿司に温度があることを感じたのは、初めてだった。









そのお魚に合わせて、少し温かい魚と、すごく冷たい魚と。


食べるとちゃんと感じる、温度の違い。


ちゃんとそれぞれの違いや味に合わせて冷蔵や保存管理がされているそうだ。












■個人的に驚いた「いくら」


私は「いくら」が食べれないのだが、初めて生のいくらを美味しいと思った。


いくらをちゃんと食べたのは、何十年ぶりだろう・・・。







息子さん曰く、いくらは本来こういう味なのだが、


生臭くなるのはきちんと洗ったり、加工したりに手を抜いているからであって、


手間をかけてちゃんと加工すれば、この味になる、とのこと。












■あまり美味しくなかったもの



個人的に、「おおとろ」「かつお」「しゃこ」「あなご」はイマイチだった。





「おおとろ」は私の大好物なので、好き過ぎて、


食べる前に期待をしすぎてしまったのかもしれない。


決してまずくはなく、とても美味しいのだが、感激がなかった。











「かつお」はかなり山本さんが押していて、


「かつお好きは、この香りを家まで持って帰りたいくらいでしょう!」


と絶賛されていたが、藁でいぶした燻製の香りが強く、


スモークソーセージを食べている感じで、


もう少し燻製の香りが少なくても良いような気がした。











「しゃこ」は元々あまり好きではないのだが、


やっぱり最高級を食べても、ダメだった。










山本さん曰く、「このかつおの香りを消すには、このしゃこしかなく、


この順番(かつお⇒しゃこ)にはちゃんと意味があるんです!」とのことだったが、


今度は口の中に「しゃこ」が残り続け(苦笑)、


これだったら「かつお」が残っていてくれた方が良かった・・・と思った。











「あなご」は、「あなご」自体は柔らかくてとても美味しいのだが、


タレが少々甘かったのが残念。個人的には、このあなごを塩で食べたい感じだった。












こんな感じだろうか。











きちんと時間通りに、いつものペースで黙々と寿司を握り終え、


一言もしゃべらず、次郎さんは静かに後片付けをして、


静かにカウンターの中から末席へ移った。










あぁ、この方は本当に「職人さん」なんだな、と思った。


次郎さんが下がってからは、息子さんや山本さんが、


「すきやばし次郎」を絶賛するミシュラン三ツ星のジョエル・ロブションさんの話や、


ミシュラン審査員が次郎に来た時の話などを披露されていた。













最後の総評として。


ツアーに参加する前にネットでも「すきやばし次郎」の評価を見たのだが、


世界で評される名店でありながら評価が軒並み低かった。











今回行ってみて思ったのは、


このお店は「食事というより、寿司を学ぶ勉強」であり、


気軽に楽しく食事を・・・と思っていくと、酒は飲めなかったり、


空調は切れていたり、談笑がしづらかったり、と思惑がはずれる。












すごいところは本当にすごいし、個人的に良い勉強になったと思っていて、


ツアーに参加させていただいたことを感謝しているが、


しょっちゅう行きたいか?と聞かれると、また1年後2年後で良いかな、と思う。












あと、寿司の実況&解説というものを非常に楽しみにしてきたのだが、


山本さん自身が、おそらく次郎さんの寿司に相当陶酔していて、


その心で話をされているので、すでにフラットな視点ではなかったのが、


少々気になった。













また、こういうツアーに参加する人たちに向けて・・なのかもしれないが、


三ツ星シェフだったり、有名人の話だったり、


「すごいでしょ?」という話が多かった。













ただ、さすがにプロの料理評論家として、


研究や勉強をされているのだと思われるので、


寿司が出る合間にたまに繰り出される寿司秘話のようなものは、


「なるほど!」と思うものも多く、勉強になった。













最後に、今回解説中、みんなと一緒に山本さんも食事をされていたのだが、


みんなが軍艦を食べている時に、山本さん自身はカウンターに一言声をかけ、


「自分はいらないので」と言って食べなかった。


そして、カウンターから軍艦の代わりに、巻物を追加でもらっていた。












食さない理由は何であれ、その軍艦について解説をし、


今日はそれが実況・解説というお仕事なので、


いくらお得意様で勝手知っていたとしても、


この場は、みんなに合わせて、同じ土俵で実況、解説をしてほしかった。
















■今日のカメ

■箸置き
f0232060_164894.jpg箸置きとおしながきです。握りが始まる前の乾杯の時に撮影したので、許可が下りてます。









■お品書
f0232060_16481814.jpgお品書きの左隅に丁寧に1つ1つ直筆のサインを入れてくださいました。












■あかみ
f0232060_16482763.jpg山本さんから「1カットだけ」と許可が下りた「あかみ」。撮影するネタも、「じゃあ、あかみね」と決められてしまっていました。








■おおとろ
f0232060_16483464.jpgところが、あかみ撮影直後、次郎さんから「赤身は撮影してもあんまり綺麗じゃないだろう。とろがいいんじゃないかい?」とフォローが入り、急遽、「おおとろ」も撮影可能に。







■次郎さん
f0232060_16484363.jpg御年86歳の小野次郎さん。

今回のツアーは午前の部と午後の部の2回あったそうなのですが、すべてご自身が握られていたそうです。ギネスにも最高齢のミシュランシェフとして認定されたそうです。

最後お店を出る際に握手をしていただいたのですが、86歳とは思えない、とてもやわらかくて綺麗な手をされていました。

40歳過ぎた頃から、年取って現役をやっていくのに、手が汚いとお客様に失礼になるという理由で、外出される時には、どんなに暑くても手袋をされているそうです。





■お土産
f0232060_1648519.jpgツアー参加者全員に、山本益博さんが次郎さんの寿司について書かれた「至福のすし」という本がプレゼントされました。











■サイン入り
f0232060_1649146.jpg1ページ目に次郎さんと息子さんの直筆のサインが入っておりました。
by meshi-quest | 2009-08-13 16:47 | 銀座
プロフィール
ゲームプロデューサー
成沢 理恵
「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」シリーズで知られる㈱スクウェア・エニックスを経て、 現在、ちゅらっぷす株式会社取締役、兼、ゲームプロデューサー。

ヒマさえあれば、国内、海外を食べ歩き、遊び歩く、生粋の遊び人。

その経験は、ゲームづくりにも活かされている、はず……。
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