2割増しのコトバ
アナタは今、とてもコロッケが食べたいと思っています。
あの香り、あの味、食べたくて、食べたくて仕方がない。
そんな時、目の前にお肉屋さんがありました。
行ってみると、なんと2種類のコロッケを売っています。
1つは、普通の『コロッケ』。もう1つは、『おばあちゃんの手作りコロッケ』という名前が付いています。
見たところ、どちらも同じようなコロッケで、値段もさほど変わりがありません。
さて、コロッケなら何でもイイ!くらい、コロッケが食べたいアナタ。
どちらのコロッケを買いますか?
私が思うに、8割以上の人が『おばあちゃんの手作りコロッケ』を選んだと思われる。いや、9割いっているかもしれない。
私も上記のシチュエーションだったら、間違いなく『おばあちゃん』を選らぶ。
さてさて、これは心理テストでも何でもない。もしこんな心理テストがあったら、B級もいいところだ(笑)。
では、何なのか・・。
つい最近、こんな話で盛り上がった。
「ヒトには『弱いコトバ』というものが存在する。」
つまり、このコトバが付いていると、無条件で2割増しくらいの付加価値が付いてくる気がするコトバのことである。
ここでポイントなのは、「気がする」というところである。
もしかしたら、本当に2割増しの価値があるかもしれないが、本当にあるかないかを問う前に、このコトバによって「テロテロリン!」とポイントが自動的に加算されてしまうのだ。
コロッケの例で言えば、「おばあちゃん」「手作り」がコレにあたる。2つあるので、合計で4割増しのポイント加算だ。
ヨノナカにはこのようなコトバがいっぱい存在する。
「お総菜」で言えば、『できたて』『田舎風』『おばあちゃん』『有機野菜を使った・・・』などがコレにあたる。
「寿司」で言えば、『天然』『近海もの』『旬』『築地』『北海道産』など、「モノ」で言えば、『セール』『限定』『今、話題の・・』などなど。
こんなコトバが、商品を2割増し、3割増しにしているのだ。美味しそうな気がするし、欲しい気もしてしまう。
Oh! It's マジック!!摩訶不思議である。
本当に美味しくて、本当におばあちゃんが作っているならば別にいいが、真偽のほどは定かではない。最後は自分の直感と決断に任せるしかない。
こんな話をしてる中、つい最近新聞で消費者をバカにしたような事件を目にした。
北海道の「サッポロビール園」で、『工場直送』『新鮮』とか言いつつ、実は前日に残ったビールを当日のビールに少しづつまぜて出していたことが発覚。しかも、それは担当者コメントによると「慣習」であり、十年以上前から行われていたとのこと。
バカにするにもほどがある。
行ったことはないが、きっとビール園というくらいだから、観光客のメッカであり、ツアーにも組まれていたり、工場見学の後に試飲をさせたり、お土産を買っていってもらったりしていたことだろう。
そして、その看板には『工場直送』『しぼりたて』『新鮮』などのコトバが並び、それを信じた観光客などがビールを楽しんでいたことだろう。
「やっぱ、工場直送は味が違うわね!」とか言いながら。
その様子を、そこの担当者は長年どんな気分で眺めていたのだろうか?
1日前のビールを、出来たてと信じ、美味しいと喜ぶ観光客の姿を。
ビールのことはよく分からないので、もしかしたら1日前も当日も実はそんなに味は変わらないのかもしれない。その辺のことは詳しくは知らないが、『工場直送』『新鮮』にはウソ偽りがあり、やっぱ出来たての方が嬉しいし、美味しいに違いないと思う。
このビール園は、ちょっとビールをケチったことで、『信頼』という壊れやすく築きにくいモノを失う恐ろしさを味わうことだろう。
最近、2割増しのコトバで消費者が安心しているのを良いことに、結構えげつないことしている事件が多い気がする。
会社名だって、信頼と安心の「2割増しのコトバ」と同類であることの「喜び」と「責任」と「恐ろしさ」を再確認しないといけませんね。
特に、食品、医療、学校など、こっちの消費者にとっては信頼するしかなく、割と「コトバ」のマジックにかかりやすい業種の皆様、何とぞ心してお仕事くださいませ。
そして、誰にも守ってもらえないこのヨノナカで、正しい判断力と決断力を自分自身も身につけていかないといけませんね。
そうしないと、コロッとヤラれちゃいますよ、コロッと(笑)。
●今日のカメ。
パーマ、かけてみました(ウソ)。
髪の毛が柔らかい&細いので、三つ編みをして外出した日には、帰ってほどくとこの通り。ビンボーパーマの出来上がり。この日のビンボーパーマ具合があまりにもひどかったので(笑)、撮影してみました。