あたしと犬と東京と
まさか、自分の人生の中で、犬と生活を共にする機会が来るとは思ってもみなかった。
今までは、全く犬に縁のない人生だった。
逆に猫とは非常に縁深い人生だった。
実際、今も「やひち」というアメリカンショートヘアーを飼っているし、近所に住んでいた私のおばあちゃんは野良猫を拾ってきては世話をしてあげていたので、いつもそばに猫がいた。
おばあちゃんが生きていた間に、こんな話を聞いた。
私は生まれてすぐに肺膿という肺が腐る病気にかかり、医者から死の宣告を受けたのだが、奇跡的に高熱が下がりなんとか持ち直したその日の朝、私が治ると同時に、おばあちゃん家で大事に飼っていた猫がいなくなっていた。探してみると、裏庭でひっそりと死んでいたらしい。
まるで、私を助けるために命の交換をしたかのように。
そんなこんなで猫とは非常に縁もあるし、仲が良い。
私も猫という生き物がすごく好きだ。
前世は犬か猫か?と聞かれたら、間違いなく猫だと思う。
猫が嫌いな人は、あの愛想ないというか、そっけない自分勝手な態度が好きではないとよく言うが、私はそんな猫の気持ちが分かるし、そんな猫が好きなのだ。
実際の私も猫みたいなもんで、気乗りしないとニャアと言わないし、好きじゃない人には全くしっぽも振らない(笑)。ご飯の時だけ、軽快に動く。似たようなもんだ。
うちのやひちは元々母が飼っていた猫で、母が亡くなってからは私が引き取ってうちで飼おうと思っていたのだが、仕事で遅くなってしまって一人ぼっちにさせておくのがかわいそうなので、今はおじいちゃん家で飼っている。
たまにおじいちゃん家に遊びに行くと、やひちはとりあえず玄関までやってくるのだが、私の顔をちょっと見てからまた黙って元のお休みポジションへ戻っていく。
その時の顔が「おぅ、お前か?まぁ、入れや。」と言っているようで、毎度笑える。
ここはやひちの家ではなく、そこは間違いなくおじいちゃんの家なのだが(笑)、その何だがちょっと偉そうで、すべてを悟ったような、堂々とした態度も、猫らしくてすごーく好きなのだ。
さて、そんな私が、今こうして原稿を書いている隣で犬を従えている。
不思議な気分だ。
犬は猫とだいぶ違う。
一緒に暮らして初めて分かったのだが、ホントに違う。
とにかく、元気で、寂しがり屋で、人間のことが好きで好きで仕方がないようだ。
帰ってくると、足音を察してすごいイキオイでワンワン叫んで、玄関までやってくる。
目を輝かせていて、毎日が楽しくて仕方がないようだ。
何か人間が動くと、一緒にやってきて、その様子を見る。
常に人間の隣にいようとする。
そして、すごく寂しがり屋なようで、かまってあげないとクーンクン鳴く。
黙って本を読んだり、ゲームに集中していると、ジャンプしたり、膝の上にダイブしたりして「存在アピール」と「かまってかまって!アピール」をする。
そして、人間が起きていると一緒になって夜中まで起きている。
人間が休むと、やっと犬の今日一日も終わる。
やひちだったら、必要な時しか基本的に来ないし、私も必要な時にしか行かない。
私が仕事をしていて夜中まで起きていたって、やひちは平気で隣でいびきかいて寝てるし(笑)、常に省エネ状態で気が付けばいつも丸くなって静かに寝ている。
だからと言って、決して仲が悪いわけではなく、私とやひちはココロのずぅーっと奥のほうでつながっている。
何だが私が元気がないときに、ふと横を見たら隣で丸まっていたり、物は言わないけど、「お前の気持ちは分かっているから、頑張れ」と言っているようなのだ。
そんな、もの静かに様子を見ている猫と、全身からみなぎるパワーでアピールをしてくる犬はホント対照的で、猫しか見てこなかった私にとっては犬のパワーに圧倒されてばかりであった。
そして、私が思う最大の違いは、表情だった。
猫はあまり顔に出さないが、犬はすごく表情が豊かであることが分かった。
いたずらして叱られるときには「ヤベェ!」という顔をするし、寂しいときには「寂しいの・・・」という顔をする。
あまりに表情が豊かなだけに、人間の子供を相手にしているようで、どうやって扱っていけばいいか、よく分からなかった。
よその子をどう扱っていいのか分からない近所のおばさん気分だ。
そんなこんなの試行錯誤の毎日であったが、最近やっと犬とどうやって接していけばいいのかが、私なりに分かってきた。
分かったのだ。
私が言うのもなんだが、そこら辺のご近所にいる犬よりカワイイ顔をしているし、いたずらした後に「もうしないから・・ごめんね」というカワイイ許してアピール顔をするが、そのくせまたいたずらをする。
これにだまされていたのだ。
だから、決めた。
悪いことをしたら、容赦なくぶつ。グーでもパーでもぶつ。ただし、チョキは痛いのでやめておこうと思う。
そして、カワイイのと、悪いことしたことは別物で、相殺されない。
悪いことは悪い。良いことは良い。それだけ。
犬の本当の飼い主にも、甘やかさぬよう指示を出した。
ホント、人間の子供のようだ。
1にしつけ、2にしつけ。
また、こっちが何かしていて忙しいときには、いくらアピールしてきても、相手にしない。
今まで、アピールされるとちゃんと相手にしなきゃいけないのではないかという義務感が発生していたため、時に苦痛があったのだ。
私は私、わんこはわんこ。
二人で遊びたいという意思が合致したときに遊べばいいのだ。それでいいのだ。
きっとわんこから「このおねぇちゃん、優しくないなぁ・・」と思われてるんだろうなと思いつつ(苦笑)、猫(私)と犬の不思議な共同生活が続いている。
■今日のカメ。
名前はミュウ。
メスのパピヨン。カメラ向けても嫌がらず、すごくイイ顔して写ります。
いたずらさえしなければ、いい子なんだけどなぁ・・。
■赤いソファの上がお気に入りのようです。

■だっこされてもおとなしいです。

■お手。

お手しているときは、ホントかわいいです。
うちのやひちは、芸のひとつもなく・・(泣)。
■お手ダブル。
