秋の心霊ツアー
その場では、かなりの人が「おお!行くぜ!!」と言っていたのだが、心霊ツアー実施1週間前に2人抜け、ツアー前前日にまた1人抜け、当日にも1人抜け・・・こうして残った怖いもの知らずの8人で行くことになった。
9月某日。
仕事を終えて、夜中の12時からレンタカーに乗って、東京郊外にある超有名な心霊トンネルへ。
このトンネルは、霊が出ることで有名なトンネルで、テレビでも本でも常連のスポットである。
トンネルは現在も使われているものの他に、旧トンネル、旧旧トンネルという2本があり、旧トンネルは現在車両は通行止めで歩行のみ可、旧旧トンネルは全通行止めとなっているとのこと。
もちろん、この中で旧旧トンネルが一番ヤバイらしい。
車を走らせること2時間ちょっと。
仕事後ということもあり、車中で軽くご飯を食べつつ、食べたら今後は眠気が襲い、完全にだらだら状態で現地に着いた。
狙ったかのように丑三つ時だった。
トンネルは山道をあがった上にあった。
周りには、何もない。使われているのかも分からないさびれた食堂が1軒あるだけ。
トンネルが放つぼんやりとしたオレンジ色の光が奇妙な空間を作っていた。
山の上ということもあり、外は異様に寒い。
有名スポットというだけあって、すでに数台の車がトンネル脇に止められていた。
懐中電灯の光と、集団の若者の声がする。
明らかに心霊スポット見学者たちだ。
まずは、若者たちの声がする旧トンネル方面に向かって、車を降りて、山道を歩いた。
困ったことに、私は極度の鳥目で、遊園地にあるお化け屋敷とかも満足に進むことが出来ないほどなのだ。
もちろん、山の砂利道もこの暗闇で歩くことが出来ず、友達に手を引っ張ってもらって道を進んだ。それでも、たまに石につまずいて転んだりしていた。
現トンネル脇の山道を歩くこと、5分。
目の前に廃トンネルが見えてきた。これが旧トンネルだ。
今は全く使われていない様子で、トンネル内も水浸しで、舗装もされていなかった。
トンネル内には無数の落書きと、空き缶や雑誌などが落ちていた。
入り口から先のほうに出口が見え、あまり長いトンネルでもないので、中に入って歩くことにした。
夜中に月明かりと懐中電灯だけをたよりに、トンネルを歩く様はなんだか小説にありそうな感じでもあり、映画「スタンド・バイ・ミー」のような感じでもあった。
ふと、空を見上げると、満天の星が頭上に広がっていた。
恐怖感はなく、ただただ静かで、穏やかで、綺麗な夜だった。
旧トンネルを何事もなく抜け、次は旧旧トンネルを探しに山を下った。
探しに探したのだが、残念ながら、旧旧トンネルは見つけられなかった。
1つそれらしい山道を見つけ、これではないかとしばらく進んで見たのだが、進んだ先にぽつんと1軒の民家があり、その横の道は通行止めになっていた。
通行止めの先を男性陣が山に入って見に行ったのだが、有刺鉄線でふさいであり、またツアー者の1人が「その先に何ややな予感がする」というので、結局戻ることとなった。
後で分かったことだが、どうやらその先に旧旧トンネルがあったらしい。
帰りがけに、1台のバンに乗った若者男子集団がやってきた。見るからに、肝試しをしにきたヤンキーっぽかった。
特に問題もなく、うちらはすぐにそこを離れたのだが、心霊ツアー経験者が「心霊ツアーで一番気をつけなければいけないのは、心霊ではなく、ヤンキー」と言っていたように、心霊スポットでのヤンキー遭遇率は非常に高いらしい。
「なぜヤンキーは心霊スポットに行くのか?」と聞いたところ、「することがないから」「お金なくても手軽に楽しめるから」「強さの誇示」など様々な理由でヤンキーが心霊スポットにやってくるらしいのだが、皆さんももし心霊スポットへ行くようなことがあったら、決して女の子だけとか、少人数では行かないようお気をつけください。
あの世も現世も危険だらけである。
さてさて、ここまで心霊ツアーのことを書いたが、実は私が本当に楽しみにしていたのは心霊ツアーではなく、この後に行くことになっていたとあるツアーの方であった。
心霊ツアーの後、一行はそのままどこへ向かったのか。
それは次週に書かせていただく。
■今日のカメ
今日のカメは暗闇での撮影のため、写真全体が暗く見にくいかもしれませんが、
ご了承ください。
フラッシュもちゃんとたいていたのですが、あまりにも暗すぎてフラッシュが効か
なかったんです。
■丑三つ時、現地到着

地図は持ってきていなかったので、現トンネル付近の山道を探って、旧トンネルへ向かうための話し合い中。
■心霊スポット見学者の車の列

この後もひっきりなしに車が止まっていました。
■塩かけます

■通行止め

実はこの先に旧旧トンネルがありました