花はじめ
多趣味でなんでもできる、とても器用な人だった。
料理は和洋中からなんでも作れて、野菜に飾り包丁を入れて花や動物まで作れるほどの腕前だった。
日曜日の休みの日には、野菜を丁寧に裏ごして、スープを作ったりしていた。
お正月のうちのおせちは、きっとどの料亭にも負けないくらい、華やかで美味しかった。
裁縫も上手だった。
型紙なしで、布製のCDコンボカバーを作ったり、私のベッドカバー、枕カバー等、既製品で気に入った柄のものがなければ、ママに好きな柄の布で作ってもらっていた。
スポーツも万能だった。
娘ができないテニスやスキーも難なくこなし、大好きなスキーに至っては、朝からナイターまで上級者コースを滑りっぱなしだった。
一応、一緒にスキー場まで付いていくが、娘は早々とリタイアし、ソリに切り替えるか、ホテルで休憩を取っていた。
趣味も多かった。
若い時に、華道、茶道を習い、茶道は看板を持っていた。
華道、茶道の影響で、着物がとても好きで、自分で着付けをし、鬢つけ油をつけて日本髪を結ったりしていた。
木目込み人形作りが趣味で、家にはママ作品のガラスケースに飾った日本人形が何体もあった。
中学生になるまで、ずっと買ってきた人形かと思っていた。
40代になってからも趣味のアンテナは衰えず、フラワーアレンジメントを習い始め、先生の資格まで取ってしまった。
とまぁ、これ以外にもたくさんあるのだが、なんでもできるスーパーウーマンだった。
先日、ママが愛用していた花切りばさみが出てきた。
よくこのはさみを使って、卓上に小さなフラワーアレンジメントを作ったり、玄関の花を生けたりしてったけ。
なんだかはさみを見ていたら、「あなたもお花をやりなさい」と言われているような気がしてきて、何かに動かされるように、ネットでフラワーアレンジメント教室を探した。
たまたま花屋さんで少人数で教えていて、初心者も途中参加できる教室を見つけた。
HPで見た雰囲気もとてもよく、善は急げで、お稽古の2日前に突然電話をしたところ、空きがあるとのことで快諾いただき、急遽、参加させてもらった。
私は、常々、物事がスムーズに動くときは、それは「やるべき」もしくは「当たっている」ということだと思うようにしているので、きっと、フラワーアレンジメントはやる運命だったのだと思う。
教室は、駅から歩いて15分ほどの閑静な住宅街にあった。
アレンジメント初体験&飛び込み急参加だったので、かなりドキドキしていたが、とても気さくで優しい先生で、笑顔で迎えてくださった。
2人の生徒さんに交じって、今回は用意されたお花を木のバスケットにアレンジしていく練習。
「いかにもアレンジメント!」というような、よく花屋さんで見かけるようなお花ではなく、こんな初心者にも、個性的だけれども、色味が渋くステキな花が用意されていたので、嬉しかった。
基本的なルールとコツを教えていただいた上で、 先生から「最初ですので、あまり細かいことは気にせず、まずは、思ったように、好きなように生けて大丈夫ですよ」と言われた。
全体の配色を考えたうえで、すぐにアレンジメントのイメージが頭に描かれたのだが、実際、花を切る段になると、なかなか手が動かない。
当たり前だが、いったん切ってしまえば、仮に失敗しても、花の長さは元に戻らない。
そう思うと、急に花を切る自信がなくなる。
思うのと、実際やるのとでは、全く違うものだ。
好きな花を買ってきて、ひょいひょいと生けているママを見ていたので、割といけるんじゃないかと思っていたが、大間違いだった。
うーむ、これからもっと練習せねば。
修行せねば。
試行錯誤の上、なんとか初作品が完成した。
なんか嬉しくて、仕方がない。
プロの目から見たら、きっとまだまだなんだと思うが、出来た喜びが大きく、個人的には満足している。
早速、家に帰って、仏壇の前に飾った。
ママ、娘の作品はどうですか?
少しでもあなたの才能の片鱗が出ているといいんだけど。
■今日のカメ
■フラワーアレンジメント教室
東京吉祥寺にある「プティクール・エーム」というお花屋さんでやっているフラワーアレンジメント教室に参加させていただきました。
■教室内の様子
アレンジメントを教えてくださる濱田先生と、教室内の様子です。
アレンジメントを教えるというより、まずはお花を好きになってほしい、お花をもっと知ってほしいという感じで生徒と接していらっしゃる印象を受けました。嬉しいですね。
少人数で先生と相談をしながら練習ができるので、すごく良い雰囲気の教室でした。
■最初の課題
今回のお花たちです。
いかにも練習というような感じではなく、最初から藍色、薄紫色、薄桃色、赤、白、緑と個性的な色と、個性的な形状のお花が準備されていたので、「練習とか甘っちょろいこと言ってられねーぞ」と自然と気合がガ入り(笑)、とてもやりがいがありました。
■初作品
ジャーン!これが初作品です!!
無事完成したのが、嬉しくて、もう感激です!
自分から生まれた子は、どんな子でもかわいい!(早速、親バカ炸裂)