セブ島へ行く。⑪ ~海の孤島でシュノーケリング 後編~
バンカーボートに乗り込み、目的地「ナルソアン島」を目指す。
一面、真っ青な海。
海風が気持ちいい。
船酔いをするので、心配していたが、風の心地よさと、波が穏やかだったこともあり、酔うことなく、無事、目的地へ着いた。
さて、島へ上陸して、トイレでも行ってから・・・と思ったが、どうやら、桟橋にボート横づけのまま、上陸前にシュノーケリングをするらしく、簡単な説明と、ライフジャケット、ゴーグル、足ひれ、魚の餌となるパンが配布された。
「あ、先にどうぞ・・・」と他の人を先に行かせていたのだが、あれよあれよと、気づけば全員が海の中に入ってしまい(笑)、私だけボートの上にずっといるわけにも行かず、私も海へドボンした。
初めて見た海の世界は、本当にキレイだった。
水族館の水槽の中に入ったみたいだった。
青、ピンク、黄色、黒・・・色とりどりのたくさんの魚が群れをなして、泳いでいた。
手に握っていたパンを撒くと、たくさんの魚が寄ってきた。
体は小さいのに、パンを手から持っていく力は相当なもので、強さを感じた。
目に映る嘘のような幻想的な世界と、手から感じる魚のリアルな強さと、何が本当で、何が嘘で、脳が混乱するような不思議な空間だった。
「あぁ、来て良かった・・・」と思ったのもつかの間、一方で、刻々と、体力の限界が近づいていた。
元々、あまり体力に自信がある方ではない上、慣れないライフジャケットや足ひれに戸惑い、水中での特殊な息継ぎに呼吸が乱れ、波に体が持っていかれ、激しく体力が奪われていた。
ライフジャケットのおかげで沈むことはないにせよ、自分の体が浮くことを諦めており、事実上、溺れているに近かった。
ビックリするほど、ここ数年で、体力が落ちていたのだ。
もう少し自分はイケると思っていたが、全然イケてなかった。
「こりゃ、日本帰ったら、少し運動しないとな・・・」と、セブの海上で反省をしたが、反省している間も、どんどん体力が奪われている。
このままだとマズイと判断し、スタッフの元まで頑張って泳いで、「あと、どれくらい海にいるのか?」と聞いてみた。
すると、楽しくて時間を気にしているのかと勘違いされたのか、笑顔で「まだ時間は十分あるので、好きなだけ潜ってください」と言われた。
・・・マジでマズイ。
時間は十分あるだろうが、私の時間はあとわずかだ。
本格的に辛くなってきたので、スタッフに「・・・あの、ボートに先に戻ってもいいですか?」と言ってみた。
「え?もういいんですか?」「具合悪いですか?」的なことを聞かれたが、「いえ、体力が限界で・・・(苦笑)」と言って、全参加者中、一番最初にボートへ引き上げることにした。
みんなが楽しそうにしているので、静かにこっそり引き上げたのだが、実は、他にも体力の限界が来ていた人がいたようで、私がボートに上がった姿を確認して、数人がそれに続いてやってきた。
「あー、疲れたー」「寒かったから、上がりたかったんだ」「実は、トイレ行きたくて・・・」
だったら、自分で言えばいいじゃん(苦笑)。
他の様子を見ながら、自分から行動しないあたり、さすが、日本人・・・(笑)。
しばらくして、続々と人が戻ってきて、シュノーケリングは終了し、桟橋を渡って、ナルソアン島へ。
海の中が割と寒かったこともあり、早速、トイレへ。
思った通り、汚いトイレで、床は泥でグチャグチャ、便座はゆがんでいて、使用者の水着のせいで濡れており、個人的には辞退したいくらいだったが、ここからボートで揺られて戻るまで耐えられそうもなかったので、泣く泣く使用した。
ツアーに付いている昼食が配られて、食事をしていると、現地のおじさん3人組が現われ、歌を歌い始めた。
どうやら、観光人客目当ての流しの人のようだ。
日本人にも分かる歌として、ビートルズを3曲くらい歌ったのだが、ギターのチューニングができておらず、音がずれている上、歌詞も間違っている。
無料でやってくれるのであれば、気持ち良く拍手して終わりにするが、歌が終わった後、いきなりチップを迫り始めた。
チップ出せと言われても、ボートに乗る時に、スタッフからお金は置いて行って良いと言われていたので、全員現金を持っていない。
先ほど書いたとおり、シュノーケリングを自分でやめて、ボートに戻ってくることすら言わないのに、こういう人達相手に話をしようとする人なんて、当然ここにおらず、みんな関わらないように、下を向いて、黙々とご飯を食べている。
おじさんはフィリピン語で文句のようなことを言いながら、英語でチップを出せと引き続き迫ってくる。
見るに見かねたので、「ボートに乗る時に、お金は置いてきているので、悪いけど、チップは出せないんだ。ごめんね。他をあたってください。」ということを英語でおじさんに言ってみた。
すると、おじさんも慣れたもんで「じゃあ、ツアーのスタッフはどこだ?スタッフに出してもらってくれ。」と言う。
丁度、日本人のスタッフが戻ってきて、「どうしました?」と聞くので、事情を説明すると、その人がおじさんと話をし始めた。
交渉の結果(というか、元々ここではそういう仕組みになっているのかもしれないが)、日本人スタッフ曰く、この場はこのスタッフがチップを代わりに払い、戻ったら、1人50ペソ(日本円で100円ちょっと)を徴収してもいいですか?とのことだった。
スタッフはみんなに向かって聞いたのだが、ここでも全員無関係かのように黙っている。
おじさんと、日本人スタッフと、私がやってるから、まぁいいか的な空気を感じる。
こういうのがすごくイライラするので、みんなに向かって「50ペソくらいならいいですよね?」とちょっと強めの口調で声をかけると、全員うなずいたので、日本人スタッフに「いいみたいですよ」と告げ、おじさん達も「サンキュー!!」とか言いながら、帰って行った。
このやりとりで無駄に疲労したので(苦笑)、海を見に、海岸へ。
ここは、シュノーケリングができるだけあって、海の透明度も高い。
見渡す限り、一面、海。
干潮時は浅瀬が出てくるらしく、海の真ん中まで歩いて行くことができた。
2時間くらい島にいる時間があったのだが、朝も早かったこともあり、海で体力を使っていたこともあり、静かだったこともあり、気が付いたら、テーブルに突っ伏して、出発時刻まで寝てしまっていた。
■今日のカメ
■桟橋

■ナルソアン島

■島の売店

■クリスマスツリー

■昼食

■デザート

■流しのおじさん①

■流しのおじさん②

■海岸

■歩いて海を渡れます

■青いヒトデ

くっきり海の中が見えます。