銀座「Restaurant MASA UEKI」へ行く。
長年懇意にさせていただいているフレンチの名シェフ植木将仁さんから
自分のお店をオープンすると連絡をいただき、
銀座四丁目にある「Restaurant MASA UEKI」へ。
植木シェフは、代官山「タブローズ」、
溜池山王「XEX CLUB HOUSE」、広尾「Restaurant J」など、
様々な有名フレンチレストランのエグゼクティブを歴任されていて、
私も植木シェフの作る独創的で、美味しい料理が好きで、
お店が変わるたびに、お伺いさせてもらっていた。
今回は、震災の影響などもあり、
また、シェフ自身も各地を回って勉強をされていたそうで、
前回のお店から約2年ぶりとなる植木シェフのお店なので、
とても楽しみにしていた。
「Restaurant MASA UEKI」は、
銀座四丁目にできた新しい結婚式場の上にあり、
植木シェフは、その結婚式場のエグゼクティブを努めつつ、
プライベートレストランでは、より植木シェフらしい料理を提供するらしい。
さて、以下の話は、食事の後、シェフにも直接すべてお伝えしているので、
正直に書かせていただこうと思うが、
今回いただいた感想としては、見た目の驚き、味ともに普通であった。
いつも飛び抜けた感動をくれる植木シェフらしさがなくて、
店の雰囲気含めて、結婚式場の延長のような気がしてしまった。
決して、まずいわけではない。
素材も、技術も、一流だ。
だけど、銀座という場所、植木シェフという期待感、コースの値段、
それらを考えると、客目線で費用対効果が悪い。
植木シェフの料理が好きで、かつ、今まですごい料理を見てきただけに、
「これでは、自信をもって、友達に紹介できません」
と、正直にお話をした。
客として気が付いたことを全部お話し、
シェフも真摯に内容をお聞きくださり、
次は必ず改善しますと約束してくださったので、
近々また楽しみに再訪させていただこうと思う。
■「Restaurant MASA UEKI」
http://www.masaueki.com/home.php
■今日のカメ
■「Restaurant MASA UEKI」
東京メトロ「銀座駅」から徒歩3分ほど。
看板はなく、予約があると、その時間帯に下にコンシェルジュのスタッフがいて、お客さんを案内してくれます。
■店内の様子
席数は少なめで5~6組くらい。席の間隔も開いているので、ゆっくりできます。
ただ、プライベート感はありますが、この壁、テーブル含めて、オール白な感じがすごく結婚式場っぽく、そこはちょっと落ち着かない。
■ミニバー
店内にあるミニバー。
結婚式場のディスプレイそのままらしいのだが、飾ってあるグラスやお酒が正直チープなので、すごく気になりました。
普通のお店ならいいのですが、シェフおまかせコースのみで15000円クラスのお店なので、このあたりもきちんとしないと、客の目は厳しくなります。
■テーブルセット
テーブルセットはこんな感じ。
フォークナイフが全部出ている感じも、ちょっと結婚式場っぽいなあ。高級感ありつつも、もっと気楽な方がいい。
■メニュー
木の板に張り付けられたメニュー。料理は、シェフのおまかせコースのみ2種類。
ワインも料理に合わせて、自動的にセレクトされたものが出てきます。
■食前酒
白ワインとオレンジュースの食前酒。
■自家製パン
お店で焼いている自家製パン。左は、黒米のバケット、右は、かぼちゃの蒸しパン。
何気に、一緒に出てきたバターがすごく濃厚でめちゃくちゃ美味しかった。
■1品目
各料理には名前が付いていて、これは「ルージュマジック」という名前のお料理。
カブと黒トリュフを酸味のあるソースで和え、その上に、ザクロのピンク色の泡が乗っています。
色は綺麗ですが、1品目にしては、ちょっと酸味がきついかな。
■2品目
これは、「清爽譜」と名付けられた料理。
ウニの濃厚なオレンジと、キレイなグリーンのソースが爽やかですがすがしい。
■マグロ、アップ
ウニの下には、大間産の本マグロをスモーク。いい香りでした。
ソースは、ルッコラと本わさびのグリーンのソース。お料理と合っていました。
■ソース、アップ
植木シェフの料理のテーマに「自然」があり、料理の中にこういった食用花をよく取りいれられます。
■3品目
「またぎからの贈り物」という名前の料理。
南信州飯田産の鹿の赤ワイン煮に、京桜味噌のソース、上の白いものはじゃがいものエスプーマ。
「エスプーマ」とは、亜酸化窒素を使って、食材をムース状にする料理方法のことです。
■鹿、アップ
海外の最新技術を使った料理であり、食材もすごいのだが、正直、食べる側の客としては、いまいちであった。
鹿が堅かった。あと、皿が小さくて、見た目もこじんまりとして見えるし、肉が切りにくかった。
若い鹿で寝かせが甘かった・・・と、後でシェフがおっしゃっていましたが、六本木「ラシャッス」とかのジビエ専門店でジビエの味を知ってしまうと、すごく差を感じてしまう。
■4品目
「幸せなる出会い」という名前の料理。
すっぽん出汁を使った茶碗蒸しのような料理で、上にタピオカが乗っています。
■茶碗蒸し、アップ
上には、白トリュフ。香り良く、やさしい味の料理でした。
■5品目
「大地の恵み」という名前のお料理。
美しい紫色の食用花がすごく印象的です。
■野菜、アップ
フランスの郷土料理ガルグイユ、というものだそうです。中に温かいコンソメが入っています。
コンソメの量、味なのか、野菜の苦みの方が勝っていて、少し物足りなさを感じました。もっと甘さがある野菜だと、もう少し食べやすかったかな。
■ワイングラス、いっぱい
料理に合わせてワインが変わるので、テーブルの上にはグラスがいっぱいです。これはこれで、ゴージャス。
■6品目
「山里の秋の声」という名前のお料理です。
天竜川の稚鮎を使ったコンフィです。
■稚鮎、アップ
大根の台の上に稚鮎が乗せられている感じとか、上の緑の飾り付けとか、この料理は植木さんらしさを感じました。
ソースは、マッシュルームソースで、料理と合っていて、美味しかったです。
■7品目
「情熱ひとしずく」という名前のお料理。
手前が黒大根のパクチーソースがけ、奥が佐賀県産ビーツのチーズ焼き。正直、前菜の一部であれば良いのですが、7品目で小皿に野菜が来ると、味うんぬんの前にちょっと淋しい感じがします。
■8品目
メインディッシュは、「北の大地のささやき」という料理。
低温調理を得意とするシェフが、36時間かけて作った豚のローストです。
■豚、アップ
手間暇かかっていて、技術としてもすごいのですが、正直、客として素直な感想を言うと、メインとしては見た目、味的に淋しくありました。
また、このつるつるした皿の小さなくぼみに、この豚が乗っているので、非常にナイフが入れづらく、食べにくい。作り手と、受け手が乖離している印象を受けた。
■各種キノコ
〆はキノコのリゾット。
妙高で採れたいろんなキノコを使ったリゾットだそうです。
■9品目
「深山の宝石たち」という名前のお料理です。
かなり濃厚なキノコの香りがします。
■リゾット、アップ
キノコの香りや濃厚な出汁は出ているのですが、山椒か何かのかなり強い香辛料が入っていて、キノコ本来の味がよく分かりませんでした。
〆のリゾットとしては良いと思いますが、妙高の色んなキノコをウリにするのであれば、もっと香辛料は抑えて、キノコの香りと味だけで作った方が良い気がします。
■デザート①
デザートは2品で、まず1品目は「揺らめく微光」というデザート。
レモンと洋ナシのさっぱりとしてゼリー状のデザートです。口直しのグラニテも兼ねて。
■デザート②
「夜のしじまに」という名前のデザート。
マスカルポーネチーズを使った植木シェフ流のティラミスです。
■ティラミス、アップ
これは、ビックリするくらい美味しかったです。絶品!
料理でなくて、大変申し訳ないのですが、私の中で一番美味しかったものです。
■ハーブワゴン
シェフ自ら、生のハーブを持ってきて、それを刈り取ってハーブティーを作ってくれます。
■ハーブティー
フレッシュハーブを使っているので、すごく香りがいい、美味しいハーブティーでした。
■小菓子
最後の小菓子にも名前が付いていて、「うたげのあとに」というデザートです。
上は胡麻のおせんべい、下にはクリームムースが入っています。
■植木将仁シェフ
かなり正直に色々と言ってしまいましたが、うなずきながら「なるほど、なるほど・・・」と真摯に聞いて下ったシェフ。
またお伺いさせていただきます!