吉祥寺「鮨といろ」へ行く。
吉祥寺のランドマーク・井の頭公園入口にかつてあった、おそらく都内最古のラブホテルの1つだったと思われる旅館があった。
そこが取り壊され、昨年オシャレな複合商業ビルに生まれ変わった。
そのビルの中に、昨年2024年12月末にオープンした鮨店「鮨といろ」にお邪魔させてもらった。
ちなみに、ビル自体はそこまで大きくはないのだが、中がちょっとダンジョンみたいに入り組んでて、一瞬入口を見失ったのだが、「鮨といろ」さんはビルの中を少し奥に入った地下にある。
まず、着席して1品目が名物の「雲丹と炙り大トロの手巻き」。
続いて、2品目から雲丹の食べ比べで、ムラサキウニとバフンウニが続いてくる。
特に説明なく、初めてお邪魔した状態でこの流れが続くので、正直「???」と思い、大将に「この先につまみとにぎりが続くんでしょうか・・・?」と聞いたら、「うちは外からお腹空いてきてもらって、最初に美味しいものを食べてもらうようにしてる」とのことだった。
最初から雲丹の手巻きが出てくるインパクトや、確かにお腹空いてる状態で美味しいものを食べさせるというコンセプトは分かるが、それはやっていることがお客さんにちゃんと響いてて、嬉しい時だけで、それが機能していないと机上の空論になってしまうと思う。
私はこの時点で、雲丹を3つも手巻きで連続で食べているわけだが(苦笑)、ちょっと最初から連続過ぎてトゥーマッチになっていた。お店さんの意向と、お客側が実際体験していて見ている景色がだいぶ違うというか、ずれているように思った。
しかも、変な意味ではなく、しょっちゅう色んなところで鮨を食べている者からすると、最初のウニとしてとんでもないウニが出るなら意味があるかもしれないが、値段相応のウニであり、味に驚きもなく、味としても普通であったので、そういう意味でも最初に連続で食べたくはなかったなあ・・・という感じではある。
ただ、これは値段的にノンアルで17000円くらいの価格帯なので、この先の品数を考えると仕方がないと思うので、雲丹のクオリティーを論じるつもりはない。
だからこそ、私個人はこの雲丹が連続だと飽きが来ちゃうので、着席すぐの3連チャンではなく(苦笑)、後半のどこかに混ぜて欲しかったな・・・と思うのだが、これはこの記事の最後に書くが、鮨屋さんは究極の相性を問われる飲食店だと思ってるので、これはこれで、私が合わなかっただけで、ご縁が無かっただけかなとも思っている。今回はメニュー初めに思うことがあったため、総括が先になってしまってるが、ご容赦を。
雲丹の連チャンが終わってから、急に普通のコースが始まり、まずは初カツオの刺身から。上には特製のニンニクオイル。
この時点でもすでに舌がかなりのウニになってるので、流れとしてもちょっと違うような気がした。
ハマグリとあおさの茶碗蒸しと、アジのなめろうと子持ち昆布。
にぎりは、スミイカから。上には竹炭塩。
コハダと、サワラの炙り。
サワラの炙りはちょっと変わったにぎりになってて、厚切りのサワラを真ん中割いて、その中にシャリを入れる感じなので、にぎりがすっぽりと隠れている。
シマエビと、ウッカリカサゴ。
強烈な名前のウッカリカサゴという魚を鮨でいただくのは初めてかも。食感がしっかりしてて美味しい。
調べてみたら、カサゴととても似ているが、カサゴよりも魚体大きく、体の斑点に縁取りがあるなどちゃんと見分け方の違いもあって、驚いた。
イカゲソの唐揚げと、キンキとよもぎ麩のお椀。キンキのお椀はとてもいい出汁が出ていた。
ホタテの磯部巻きと、アジ。アジの上には大葉や胡麻を和えたもの。
本鮪の赤身と中とろ。
穴子と、玉と、海老の味噌汁。
最後はフルーツが入った牛乳寒天。
場所的にも繁華街ではなく、井の頭公園近くの高級住宅街側にあるので、地元密着型の高級鮨店が出来たと思い、鮨好きとしてすごく楽しみに伺った。
が、お客さんも外人さんや地元の人では無さそうな人が多く、料理の内容も記念日向けというか、1つ1つが深堀されている感じではなかったので、正直期待していたものではなかった。
席数も思ったよりあって、その分仕方がないと思うのだが、料理もネタも先に作って、切り終わった出来合いになってしまっているものも多く、切り立て、出来立ての美味しさもあまり無かった。
そして、鮨屋さんは、目の前で1対1で対峙して、素手で握るその調理を見ながら、完成品をいただくという究極の対面飲食店であり、究極の相性勝負になると思うのだが、大将がものすごくお疲れで、それが気になって仕方が無かった。
「ふー。」というため息が文字で見えるくらい疲れていらっしゃって、もちろんものすごく実際疲れてるのだと思うし、別に変に空元気でいっぱいしゃべってくれとも思わないのだが、少なくとも初めて来たお客にはそれは出さないで欲しかったなあと思う。
張りつめててもそれを超える何かがあればそれはそれかもしれないが、この張り詰めた空気と味が伴ってなくて、人柄なのか味なのか、何でもいいのだが、また来たいと思う何かがあったら良かったのになあと思う。
私は鮨が好きだ。
鮨が好きだけに、あまり嘘は付きたくないのと、今回は期待もとてもしていただけに、ちょっとしっかりストレートで感想を書かせてもらった。
■「鮨といろ」
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by meshi-quest
| 2025-05-28 08:03
| 吉祥寺