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四ツ谷「三國」へ行く。













懇意にさせていただいている「世界の三國」と言われたフレンチの巨匠・三國清三シェフの待望の新店フレンチ「三國」にお邪魔させていただいた。


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元々、三國シェフは四ツ谷の閑静な住宅街で「オテル・ドゥ・ミクニ」という名前の都内有数のグランメゾンをやっていたが、コロナ禍もあり、また三國シェフもご高齢になり、グランメゾンという形式ではない形の次なるステージを目指すということで、2022年の12月で37年の歴史に幕を閉じた。(「オテル・ドゥ・ミクニ」の記事はコチラ!)


その後、長らく「オテル・ドゥ・ミクニ」の跡地で工事が行われており、大きな敷地はマンションとなったが、今年2025年9月、その1階に8席ほどの小さなレストラン「三國」をオープンさせた。


私は毎年3月の誕生日に、長年ありがたいことに三國シェフにお誕生日ケーキを作っていただいてたり、 定期的に美味しいフレンチを作っていただいたりして、とても懇意にさせていただいていた。


「オテル・ドゥ・ミクニ」が閉店するのは大きな歴史が終わるような感じで、三國シェフにお疲れ様の気持ちと共に、やはり淋しさもあったが、三國シェフから新店を作り、また料理はされることを聞いていたので、楽しみにこの日をお待ちしていた。


2年ぶりの三國シェフのお料理。とても楽しみすぎる。


以下、どんなお料理で、どんなワクワクがあったのかお伝えしたいと思う。


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まず、すごく特徴的だったのが、三國シェフも冒頭で「参加型のレストランです」と言っていたように、シェフやお客さんとのやり取りや対話、コミュニケーションを多く取っているレストランだったこと。


これは、以前の1階にも2階にも席があって、全体的に席数も多く、キッチンも奥にあって客席からは見えなかった「オテル・ドゥ・ミクニ」と大きく違う部分。


着席前に、お客さんはその日のインスピレーションで入口に飾られているお皿から1枚を選んで、その皿を自分で持って、席まで行く。今まで色んなフレンチに行ったが、皿を自分で選んで、自分で持っていくのは初めてかもしれない。


和食とかだと、お猪口を選んだり、お茶碗選んだりなどはあるが、正直フレンチでは見たことがなく、斬新だった。


ちなみに、私は一番最初に選ぶことが出来たので、1枚だけあったこの鹿の手彫りの模様が入った金色のお皿が気になり、それを選んだ。


着席したら、三國シェフが「それ、うちで一番高価なお皿なの」と笑っていたw。


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席はオープンキッチンを囲むように作られているカウンター8席のみ。Maxで8名くらいだが、実際は少し余裕を持たせて2名×3組の計6名くらいで営業している印象。この日も6名。ちなみに、営業は2回転で6時からの会と、8時半からの会がある。


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着席してからも面白いことが色々とあり、まず、ものすごくシェフやキッチンがとても近い


以前のグランメゾン「オテル・ドゥ・ミクニ」で見えない後ろの厨房にて長くやられていた良い意味での反動なのかもしれないのだが、個人的にはフレンチの巨匠をこの至近距離のアリーナ席で見続けられるのはものすごく楽しい。


そして、「三國」の刻印入りのお箸が最初から用意されていたのも新鮮だった。これも当然グランメゾン「オテル・ドゥ・ミクニ」の時には無かったもの。


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三國シェフから直々に本日の食材の説明をいただく。


これも以前のグランメゾン「オテル・ドゥ・ミクニ」では席数も多く、お客さんも多く、対応しきれなかったこともあり、フロアスタッフからの説明はあれど、直々に三國シェフから食材の説明をすることは無かったので、個人的に嬉しく、楽しかった。


本日の目玉は、岐阜の松茸、青森の「海峡ヒラメ」、白老町の「あべ牛」


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1品目は、以前のグランメゾン「オテル・ドゥ・ミクニ」でも必ず1品目で出していた名物のアミューズ「タルトオニオン」。上からはたっぷりの秋トリュフ


オニオンの旨味をたっぷり含んだ濃厚な卵豆腐のようなプルプルのタルト。またこの絶品タルトをいただけるのは感激。


ソムリエやサービスのスタッフもほとんどが以前のグランメゾン「オテル・ドゥ・ミクニ」の時の方だったので、私が飲めそうなワインをちゃんと覚えてて、選んでくださって、嬉しかった。


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2品目は、厚岸のマグロと、オシェトラキャビアのタルタル仕立て。亀甲萬が天皇陛下に献上している「御用藏醤油」とポーチドエッグで、日本料理の黄身醤油のような感じでいただく。


三國シェフが「キャビアは好き?」と聞かれたので、「はい!」と答えたら、ガチでキャビア大盛にしてくださった。笑


醤油を使ったり、調味料を紹介してくれたり、以前のグランメゾン「オテル・ドゥ・ミクニ」は無かったことで、新鮮だった。


以前のグランメゾンでやっていたクラッシックフレンチから、フレンチの枠を超えた三國シェフが今作りたい食材で作る料理という感じで、コロナ禍の時に三國シェフがやられた家庭でも作れる料理の大人気YouTubeの影響もあるのかもしれない。


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発酵バターをたっぷり使った自家製パンがものすごくいい香りで、美味しかった。


世界で初めて作られたというギリシャのオリーブオイルと、ゲランドの発酵バターでいただく。そのままでも十分美味しい。


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3品目は、フォアグラの茶碗蒸し仕立て。


中には気仙沼のフカヒレと、濃厚なコンソメドゥーブルと、上には焼きウニが乗せられている。


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2つ目のパンは、ポピーシード麻の実白胡麻を使った少し固めで、香ばしいパン。こちらも焼き立てを提供してくれる。


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4品目は、下北半島沖の「海峡ヒラメ」オマールブルーと、国産松茸を使った1品。


ヒラメと松茸はソテーに、オマールブルーのムースに、オマールブルーの濃厚なオマールディーヌソース、フランス産ジロール茸の付け合わせ。


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5品目は、白老町「あべ牛」のロティ。


付け合わせは、江戸東京野菜の「寺島ナス」「亀戸大根」、ブルーチーズを入れたドフィノワ、ソースは赤ワインに、「カクキュー」さんの八丁味噌、フォンドボーを加えたもの。


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ここでなんと三國シェフから「このお肉にはご飯が合うので、ご飯を食べませんか?」という提案!


最高級土鍋・雲井窯の土鍋を使い、シェフの故郷である北海道・増毛の「ゆめぴりか」を使った炊き立てご飯と、スタッフが漬けたというぬか漬けを出してもらった。


長年、グランメゾン「オテル・ドゥ・ミクニ」にお邪魔させていただいていたが、メインディッシュに炊き立てのご飯とぬか漬けが出てきたのは初めてだ。


そして、目の前でご飯をよそってくれて、ぬか漬けを切ってくださる巨匠を見れるなんて、とても貴重な経験。


シンプルに美味しい。日本人は美味しいご飯が好きなのだ。


それがフレンチであろうが、イタリアンであろうが、中華であろうが、なんだってご飯はやっぱり食べたいし、食べるとホッとする。


なんかすごくいい。フレンチの巨匠と言われた三國シェフがメインのお肉に炊き立てご飯を出してくれるのが世界観としてもすごく良かった。


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6品目は、ここからデザートが続く。


「三國」のコースは面白い構成になっていて、全10品の中の前半5品は料理で、後半5品がデザート。なので、料理とデザートが半々で出てくる。


まずは、静岡の極熟クラウンメロンのフランベ。ヘネシーVSOPを使って、三國シェフが目の前でフランベをしてくれる。なんかのマジックショーを見ている感じで楽しいw。付け合わせは、マダガスカル産の最高級バニラを使った自家製バニラアイス


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7品目は、青梅の古木の柚子を使った柚子のブリュレ


柚子がお皿の上で安定しないので、折り紙で支えを作ったんだよと三國シェフがおっしゃってて、こういう折り紙との組み合わせも、以前のグランメゾン「オテル・ドゥ・ミクニ」では見れなかった変化。アットホームな感じですごくいい。


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8品目は、内藤家の内藤栗モンブラン


新宿区に内藤町という場所があり、以前はお殿様の敷地だったそうで、その子孫が作っているのが内藤栗だそう。中にはカシスのアイスと、上には金沢の金箔プラチナ箔の金銀盛り合わせ。


金箔はよく見かけるが、プラチナ箔は初めて食べさせてもらった。ちなみに、金箔もそうだが、基本、味はないのだけど、それだけを噛みしめると、うっすら金属感はある。


ちなみに、デザートも全部三國シェフがクリーム搾ったりして、目の前で作ってくれる。それもまたすごいこと。


三國シェフにその話をしたら、「僕はフランスで1年間パティシエの修業していたこともあって、デザート好きなんだよ」と笑っておっしゃっていた。


フレンチのコースには料理と同じくらいデザートは大事で欠かせないもので、シェフとして自分の料理に合わせるデザートをパティシエと話す時に、自分がデザートを知らないと話せないので、必ずちゃんとしたフレンチのシェフはパティシエの修業もするのだそう。


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9品目は、なんと抹茶


スプーンに乗ったキュイエールショコラと共に、「三國」のコースの最後は抹茶で〆る。もちろんこれも以前のグランメゾン「オテル・ドゥ・ミクニ」には無かったことだが、とても感慨深く、個人的にはこの終わり方も素敵だった。


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10品目は、小菓子のプティーフール。これはウェイティングBARを兼ねている小さなBARカウンターに移動していただく。


三國シェフと創業からご一緒していて、グランメゾン「オテル・ドゥ・ミクニ」でもBARの守り神だったソムリエの戸田さんが「三國」でもBARを守っていて、久しぶりにお会いできて嬉しかった。


三國シェフも戸田さんも70歳を超えていて、それでもこうして明るく元気に接客をされてて、すごいなあと思う。


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最後に


以前のグランメゾン「オテル・ドゥ・ミクニ」もとても素晴らしかったけど、個人的には今の「三國」の方が好きかもしれない。


肩の荷が下りて、すごく楽しそうに料理をされたり、話をしている三國シェフが見れるから。


きっと日本を代表するフレンチの巨匠として、長年日本のフレンチを守り続けることは容易ではなく、私の想像をはるかに超える重責だったと思うのだが、そんな三國シェフが何周も回って、御年71歳になって行き着いた場所という感じがして、色んなものの集大成でもあり、まだ三國シェフが新しいことをしようとされていて、これまでの歴史も見れていたからこそ、より一層楽しかった。


変な意味ではなく、正直、以前のグランメゾン「オテル・ドゥ・ミクニ」よりもカジュアルなフレンチになっているし、料理だけを見た時のお客さんの好き嫌いとかは出てくるかもしれないが、フレンチの巨匠がこの至近距離でフルコースを説明付きで作ってくれるようなレストランはないし、それだけでもものすごく価値があるのではないかと思う。


ちなみに、予約は1ヶ月ごと。三國シェフが「僕も歳だから、先まで取っちゃうと何があるか分からないからねー」と笑っておっしゃていた。


いつまでも元気で、ぜひ楽しく美味しい料理を作り続けて欲しい。


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■「三國」
まだちゃんとした予約サイトなどがないようなのですが、予約は以前の「オテル・ドゥ・ミクニ」の電話番号から。場所も同じ場所です。

電話:03-3351-3810
場所:東京都新宿区若葉1-18-6











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by meshi-quest | 2025-10-30 08:07 | 四谷
プロフィール
ゲームプロデューサー
成沢 理恵
「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」シリーズで知られる㈱スクウェア・エニックスを経て、 現在、ちゅらっぷす株式会社取締役、兼、ゲームプロデューサー。

ヒマさえあれば、国内、海外を食べ歩き、遊び歩く、生粋の遊び人。

その経験は、ゲームづくりにも活かされている、はず……。
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